県民参加型の交通事故対策
研究室では埼玉県と協働で県民参加型交通事故対策に取り組んでいます。学生がワークショップのファシリテータとして参加した上で、県民参加によって道路の利用実態に応じた効果的な対策を行い、さらに県民の交通安全に対する意識を喚起させ、事故件数を削減することを目指しています。これまでの実施地区は以下になります。
2006年度:国道254号/和光市白子2丁目、国道463号/入間市豊岡1丁目
2007年度:国道254号新座市野火止交差点、国道299号飯能市栄町地区
2008年度:主要地方道川口上尾線川口市大字芝地区内
ミクロ交通シミュレーションtiss-NETの開発 
研究室で独自に開発しているミクロ交通シミュレーションモデルが「tiss-NET」です。車両一台一台の走行挙動・経路選択行動をモデル化することで、現在の交通状態再現や将来の交通状況予測が行えます。特に地区交通レベルの道路空間への適用が最適であり、信号パラメータや右折帯長の検討、施設駐車場出入口の位置やサービスレベルの影響評価、バス優先レーン施策等の検討が可能です。製品版ソフトウェアについては「tiss-NET 2006」としてライテック社から発売されています。大学からの販売はしておりませんので、詳しくはライテック社のWEBサイトからご確認ください。
新たなバス事業モデル -ダイヤの効率化から最適化へ-
研究室では、少子高齢化の成熟社会における新しいバス事業モデルに関する研究を、地元バス事業者と共同で実施しています。バス事業者が持つリソースの効率化という視点からの脱却を図り、バスの品質レベルとバス事業の収支を等価として扱い、バス運行データと利用者評価に基づくバスダイヤの策定プロセスを「最適化」と定義して、実際の路線で実務的な研究を実施しています。経験とカンによるダイヤ計画ではなく、最適なバスダイヤとは何かを様々な視点・価値観から再考し、公共交通としての近未来のバス事業のあり方を提案していきます。
TDMからTDOへ -新しい交通計画手法の提案-
研究室では、数多くの交通計画の現場に参画した経験から、日本独特の市民感覚にマッチした「TDO」の提案とその有効性の検討を開始しています。欧米では、短期的施策として高い有効性が確認されているTDM(交通需要管理)ですが、日本におけるTDM社会実験の結果を見ると、実験メニューの有効性が示されたにもかかわらず、「管理者側からの管理手法の提案」というやり方が、特に観光地においては受け入れ難いという事例を確認しています。観光地に代表される地域・地区では、交通需要(お客様)を、M(Management)するのではなく、O(OMOTENASHI:おもてなし)することが、必要ではないかという認識です。
観光地における予約制駐車場の提案と社会実験支援
研究室では、自動車が過剰に集中する観光地の交通マネージメントとして、駐車場の予約システムに着目しています。携帯電話のWEB機能等のIT(情報技術)を最大限に活用することで、行動制約や意識が高い自動車観光交通に対する効果的な手段を提供することができると考えています。さらに「予約」という行為自体がおよぼす行動変化についての研究や、大規模な交通社会実験における予約に関するITシステムの設計・構築についても研究を実施しています。
また、2006年11月には、世界遺産の白川郷において、現実的な予約システムとしての「駐車場予約優先システム社会実験を実施しました。
参画型みちづくりへの支援 -大宮氷川参道-
研究室では、地域に密着した参画型みちづくり、交通まちづくり活動にも積極的に関与しています。さいたま市大宮区(旧大宮市)の氷川神社の参道のみちづくりに関しては、交通計画の専門家として「氷川緑道周辺地区まちづくり交通計画検討協議会」にも参画し、速度や交通量、路上駐車といった交通調査の実施、シミュレーションによる交通分析、社会実験の実施支援などを行ってきました。また、2005年3月には参道の一方通行化と歩行空間確保の社会実験が実施されました。
日本型ハンプの研究開発
海外ではよく見ることがある「ハンプ」ですが、日本では騒音・振動の問題からあまり導入実績はありません。本研究室では、交通静穏化・交通安全に寄与する物理的デバイスとしてハンプに着目し、形状や材質、路面表示等について建材メーカと共同研究を実施しました。その結果、騒音振動の発生を極力抑えることができ、社会実験にも活用できる据え置型のゴム製ハンプの開発に成功しました。、また、さいたま市や埼玉県警の協力の下で公道実験を実施し、ハンプの設置間隔や交差点付近の設置方法についての研究を行ってきました。2004年には小金井市における長期公道実験を実施し、単断面道路における歩行者側からの評価も実施しています。
コミュニティー・ゾーンに関する一連の研究
高齢者や児童による自宅近くの生活道路での事故の増加などを背景として、くらしの道における交通安全対策、特に面的な対策が重要課題となっています。平成8年度に事業化されたコミュニティ・ゾーン形成事業の創設から実践、そして評価まで、面的な地区交通計画に関する研究を実施しています。
古都鎌倉の地区交通計画への参画とTDM社会実験支援
古都鎌倉では祝祭日における環境容量を超過して流入する観光客の自動車交通によって過度な交通渋滞が発生し、住環境の悪化だけでなく観光客自身の利便性・交通安全性を著しく低下させています。一方、都市の歴史的価値から道路新設はままならず、TDMを中心とした地区交通計画を住民によって検討してきました。本研究室では、交通シミュレーションを用いて計画検討をサポートするだけでなく、TDM施策の社会実験の計画・実施および分析についても積極的に支援してきました。2003年度11月には鎌倉市内の主要地点の映像をWEB等で公開したり、観光客自らも情報提供者となる交通社会実験(協力:横浜国道工事事務所)の実施支援を行いました。
リクエストに基づく通知型バス位置情報システムの開発
リクエストの基づいて、バスがバス停に接近すると利用者に携帯電話(音声)や携帯メールで通知を行うバス位置情報システム(接近通知)を独自に提案、さらに川越市における社会実験でその将来性を確認した上で、バス事業者(イーグルバス)との共同研究を通して実用化しました。位置把握にはGPS(Global Positioning System)を用いることで精度の高い位置把握を行い、パソコンや携帯電話のWEB機能だけではなく、CTI(Computer Telephony Integration)技術を用いることで音声電話でもバス位置情報(到着時刻予測やバス車内の混雑状況等)を取得可能にしました。また、次期システムとして車内表示システムとの連動についても研究を開始しています。
